1億円あったら遊んで暮らせる、と思ってる人へ。電卓を叩くほど夢から覚める、極めて健全な記事です。
ある日ふと川へ洗濯にでかけていたら、「FIREってみんな中央値どんくらいなんやろ」という質問をXでもらったので調べてみた。結論から言うがそんな統計、存在せんかった。
FIRE達成者って母集団が小さいうえに、ほぼ全員が自己申告。「俺、FIREしたわ」とXで言ってるだけの人と、本気で会社辞めた人が混ざってる。中央値を出せるほどのまともなデータがそもそも無い。30分かけて「無い」という事実と桃だけ持って帰ってきた。
Point 01「いくら要るか」は他人を見ても意味がない
なんで中央値が出せんのか。理由はシンプルで、FIREに必要な額は自分の支出で全部決まるから。他人がいくら持ってようと、自分の生活費とは無関係なんよ。
世界共通のものさしが「4%ルール」。年間支出の25倍を貯めて、毎年4%ずつ取り崩せば資産が枯れにくい、という考え方。式にするとこれだけ。
つまり「みんないくら?」やなくて「自分は年いくら使う?」が唯一の問い。月25万で暮らせるなら7,500万、月35万要るなら1億超。中央値を探す旅は、初手で終わった。
Point 02ほな1億円で、手取りいくらなん?
気を取り直して、夢の「1億円FIRE」で計算してみる。年利4%で運用して取り崩す。1億の4%は400万。よっしゃ年400万や、と思うやろ。思うよな。しかしそこに税金がのしかかる。株の利益には20.315%持っていかれる。涙で前が見えない。
1億円という札束を積み上げて、年に使えるのが約320万円。NISA枠を絡めたり、取り崩し型で含み益分だけ課税にすれば340〜370万に伸ばせるけど、ざっくりの肌感はこれ。
Point 03320万って、年収でいうといくらなん?
じゃあ手取り320万って、働いてる人でいうとどのへんかな。給与所得から逆算すると、こうなる。
| 額面年収 | ざっくり手取り |
|---|---|
| 400万円 | 約310〜320万 |
| 420万円 | 約330万 |
つまり手取り320万は、額面年収410〜420万のサラリーマンと同じくらい。…なんやけど、ここに罠がある。会社員の手取りは、健康保険と厚生年金が天引きされた「後」の数字。医療と年金が確保されたうえでの320万なんよ。一方FIRE組は、国民健康保険と国民年金を別途、自腹で払う。年30〜50万は飛んでいく。
これを会社員に換算し直すと、額面420万やなく360〜380万くらいの暮らしが実態。1億円積んで、額面380万の会社員と同じ生活。文字にすると、なかなか味わい深い。
会社員はフルタイム労働の対価。FIREの320万は、労働時間ゼロの不労所得。同じ手取りでも、時給で割ったら別の生き物。ここがFIREの本質的な価値やと思う。
Point 04「年収500万の暮らし」を狙うと、いくら要る?
夢を見るならもうちょい上、1億円もあって節約した暮らしはちょっと嫌やから、年収500万相当で一人ならやけどいい感じに暮らしたい。さて、いくら積めばええんか。年収500万の手取りはだいたい390万。これと同じ自由に使える金をFIREで再現するには、国保・年金の自腹分40万も上乗せして、運用の手取りで430万必要。税引前に戻して、4%で割り戻すと——
| 想定 | 必要資産 |
|---|---|
| 攻め(NISA活用・4%) | 約 1.2億円 |
| 標準(特定口座・4%) | 約 1.35億円 |
| 守り(3.5%運用) | 約 1.4〜1.55億円 |
はい。1.2〜1.5億円。1億からゴールが一段、はっきり遠のいた。電卓を叩くたびに目標が逃げていく。鬼さん退治のほうがはやいんちゃうかこれ。
Point 05やはりここでサイドFIREの選択肢
ここまで全部「金融資産だけで生活費を埋める」前提で計算してきた。1億、1.5億…て、完全FIREはどう転んでもしんどい。そこで現実的なのがサイドFIRE。生活費の一部を運用益で、残りを自分で作ったインカムで賄う。これやと必要な金融資産が一気に下がる。
たとえば、なんらかの形で年200万のキャッシュフローを作れたとする。すると運用益で賄わなあかん分が430万から230万に減って、必要な金融資産は——
必要額がほぼ半分。1.35億が6,000〜7,000万まで落ちる。完全FIREの絶望感に比べたら、急に手が届きそうな数字になった。
で、ここがキモなんやけど、この年200万のキャッシュフローは天から降ってこやん。資産形成と並行して、ちっちゃい事業を自分で組み立てていく必要がある。株をコツコツ積むのと同時に、稼ぐ蛇口をもう一個自作する、っていうイメージ。
僕やったら、本業の知見がそのまま効く小さい不動産投資から攻める。今もアパート3棟・戸建1戸を回してるから、その延長線で区分や戸建を少しずつ増やしていくのが一番勝率が高い。慣れた土俵やからリスクも読めるし、家賃は毎月ほぼ確実に入ってくる。サイドFIREのインカム源としては相性が良すぎる。
もう一個狙ってるのが、AIで何かできへんかなっていう方向。物件管理の自動化でも、情報発信でも、何かしらの形でマネタイズできへんか模索してる。正直まだ「なんかいけたらいいな」レベルやけど、初期コストが軽いから時間をかけて育てたい蛇口。
完全FIRE(資産だけで食う)は、正直しんどい。けどサイドFIRE=運用益+自作のインカムなら必要資産が一気に現実的になる。資産形成と、ちっちゃい事業づくりを同時並行で進める——これが今の僕の現実解かな。
Conclusion中央値より、自分の支出 × 25
長々と計算したけど、持ち帰りはシンプル。他人の中央値を探しても意味はない。意味があるのは「自分の年間支出 × 25」、この一本だけ。そして日本で完全FIREを狙うなら、4%ルールは米国のインフレ・株式リターン前提やから、円建ての低インフレ環境では3.5%くらいで保守的に見ておくほうが夜よく眠れる。
結論。1億積んで完全FIREして額面380万の暮らしをするより、運用益+小さい事業+AIで作るインカムでサイドFIRE、のほうが断然現実的やと分かった。ゴールが半額になったのは嬉しい。けどそのぶん、資産を積みながら事業も立ち上げる、っていう宿題が増えただけとも言える。
結局どっちに転んでも働くやんけ。今日も物件の問い合わせメール返してきます。FIRE先が長すぎん?
※この記事は個人の試算と感想です。税率・社会保険料は条件で変わり、4%ルールも将来を保証するものではありません。投資判断・資産設計は自己責任で、必要に応じて専門家にご相談を。数字はすべて概算です。